大学生の時です。友だちと一緒に駅まで行って、定期が切れていたことに気づきました。

そして所持金がほとんどなく、電車代が百十円足りません。このままだと最後の乗り換えができず、五駅歩いて帰らなければなりません。

こういう時友だちがいてよかったな、と思いながらお金を貸してくれるよう頼みました。すると五千円札をくれました。こんなにいいのか確認すると、千円くらい気にするなよ、と言ってもらえました。

どうやら彼は千円札だと思っているようです。もう切符を買う列に並んでいて、彼は離れていってしまったので一度、返すタイミングを逃してしまいました。

ホームでも、四千円を返すことはできましたがそうしませんでした。とてもお金に困っていたからです。バイト代が入ったら返すから、と心で言って、その日は帰りました。

それから一週間経ち、バイト代が入りました。ですから返すことはできましたが、定期を買うと、すぐに貯金が少なくなりました。

まだまだお金には困っていますし、もう少し余裕ができたら、もう少し余裕ができたら、と千円だけは返して、四千円は知らなかったふりをしました。

また、バイト代が入る前貧乏になっていたので、今度は学食で、彼に、千円貸して欲しいと頼むと、彼は数秒黙ってこっちを見つめたあと、千円を貸してくれました。

その翌週五千円にして返すと、彼はうれしそうに受け取ってくれました。

五千円札で試されたのだな、と思いました。